地獄に落ちる人ってどんな罪を犯したの?~おかしな地獄のお話をご紹介~

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小さな頃何か悪いことをして、親に「地獄に落るよ!」と言われた経験はありませんか? ちなみに、筆者はよくあります。

悪いことをすると堕ちて、恐ろしい責め苦を延々と受け続けるという地獄。熱心な仏教徒でなくとも、信じてなくとも、死後にそこに行くとは考えたくありませんよね。

では、地獄に落ちるほどの「悪いこと」とは、一体どんなものなのでしょうか。

地獄に落ちる罪を調べてみると、殺人盗みといった分かりやすいものは勿論、現代では理解できないような不可解なものが含まれています。

この記事では、「そんな罪で地獄に落ちるの!?」と思ってしまうような事例をご紹介していきます。

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目次

地獄ってどんな場所?

そもそも、地獄とはどんな場所なのでしょう?

「恐ろしい死後の世界」・「閻魔大王がいる所」といった認識の方が多いのではないでしょうか。

ここでは、そんな地獄の基本をご紹介していきます。

六道の内、最もイヤな転生世界

あなたは、「生まれ変わり」を信じていますか?

人としての人生を終えて、さらに新しい人生を送ることができる。こう聞くと、一見魅力的かもしれません。しかし、人間として生まれ変われるとは限らないとすればどうでしょうか。

日本の仏教には、六道輪廻という考え方があります。人は死後、生前の行いに応じて6つの道のうちのどれかに生まれ変わるというものです。

  • 天道・・・苦しみの無い良い世界
  • 人道・・・今、私達が住む世界。苦しくても、楽しみや喜びがある。
  • 修羅道・・・常に争い合う世界。
  • 餓鬼道・・・常に強烈な飢餓感に苛まれる。飢えのあまり、自分自身を食べてしまう餓鬼もいる。
  • 畜生道・・・動物に生まれ変わる世界。仏に救いを求めることも難しく、救済の少ない世界。
  • 地獄道・・・六道の中で最も救いが無く、過酷な世界。

地獄道は何らかの罪を犯した人が落ち、長い年月(ほとんど永遠ともいえるほど!)にわたり罰を受け続けます。

針で刺されたり、切られたり。とんでもなく高熱の赤銅で煮られたり。

地獄では、長い刑期を終えるまで死ぬことがありません。どんな大けがをしても、すぐに再生してしまいます。そうして、気が狂うほどの年月を痛みの中で生きるのです。

地獄に落ちた人は、ある意味で不死身。しかし、全く羨ましいものではありませんよね。

地獄道は六道の中で最も恐ろしく、一番イヤな世界なのです。

細かく分けられた地獄の数々

一言で地獄と表現しても、罪を犯した人全てが同じ地獄に落ちる訳ではありません。罪の内容と重さによって、細かく分けられた地獄のどこかに行くことになります。

では、地獄にはどれほどの種類があるのでしょうか。

地獄は等活・黒縄・衆合・叫喚・大叫喚・焦熱・大焦熱・阿鼻という8つの大地獄で構成されています。その上、それぞれに16の小地獄が付随しています。

8の地獄に、16の小地獄(8×16)。つまり、136もの地獄がある事になります。そして、メジャーではないものの「八寒地獄」があるという話もあります。

勿論、それぞれに対応する罪があります。そして、餓鬼道畜生道にも対応する罪があります。

昔の人は、どれだけ罪を細分化したかったのでしょうね。

思っているものと違う! 様々な地獄

過去でも現代でも、殺人や盗みは重罪です。

しかし、今と昔の価値観は違うもの。今では罪にならないようなことも、昔は罪に問われることがありました。そして、「なんでこんな罪を設定したの!」と叫びたくなるようなもののも。

地獄に落ちるという罪を調べてみると、今と昔との違いが浮き彫りになります。その中には、少し笑ってしまうようなものから、どうしても納得のいかないものも含まれています。

ここでは、今からすると変に思える地獄をご紹介していきます。

おかしな地獄

地獄について調べていると、面白く感じることがあります。それは、罰の内容であったり、罪の内容であったり……

思わず「なぜ、そうなったの?」と聞いてみたくなってしまいます。

地獄の話を笑うのもおかしな話かもしれませんが、変わった一面を見るのも楽しいものですよ。

衆合地獄(しゅうごうじごく)

殺生や盗みに加え、性欲に負けた人が落ちる大地獄です。不倫や(昔としては)変わった性的嗜好を持つ人が罰せられるとされています。

衆合地獄には、葉が刃になる植物が生えています。そして、そのてっぺんには美女が一人。そして、その美女はしきりに罪人を誘います。

この地獄に落ちた人は、基本的に美女が大好き。刃で体を傷つけながら頂上に辿り着くと、いつの間にか美女は地上に。手が届かない美女を追い続け、体を刻まれ続ける。これの繰り返し。

これが衆合地獄が与える責め苦の基本です(勿論、他の罰もあります)。こう聞くと、いかにも恐ろし気ですよね。しかし、少し疑問に思えませんか?

どんなに病的に性欲が強くとも、その美女に触れられない位、一度試せば分かりますよね。その上、体は責め苦でボロボロにされてしまいます。

普通、痛いことは避けたいもの。思考停止状態を基本の罰にすることが、どうしても不思議でなりません。

雨炎火石処(うえんかせきしょ)

叫喚地獄(きょうかんじごく)に付随した小地獄です。叫喚地獄には、酒に関係した悪事を行った人が落ちます。「酒は飲んでも飲まれるな」と言いますよね。

例えば、女性を酔わせて乱暴を働いた人や、旅人を酔い潰して荷物を盗み、その上で殺した人です。かなり極悪な罪ですし、地獄に落ちて当然ですよね。

しかし、この地獄に該当する罪は他にもあります。

それが、象に酒を飲ませること!

象を酔わせて暴れさせて人を殺すと、雨炎火石処に落ちてしまいます。

昔も今も、そうそう考えられるシチュエーションではありませんよね。何故、象に酒を飲ませようと思ったのでしょうか……

この地獄を考えた人が何を思っていたのか、知りたくてたまりません。

納得できない地獄

地獄とは恐ろしい所。生前にどんな罪を犯したかで、死後に行く地獄が決まります。

それが殺人や盗みなど、明らかな犯罪だったなら納得も行くことでしょう。しかし、産まれた性別が女性というだけで、落ちるとされた地獄もありました。

今からすると、とんでもない話ですよね。

ここでは、どうしても納得のいかない女性が落ちる地獄をご紹介します。

血の池地獄・石女地獄

真っ赤な血で満たされた池に浮かぶ、多くの人々。地獄絵図を想像した際、真っ先に思い浮かぶ情景ではないでしょうか。

これが、地獄の中でも有名な血の池地獄

恐山や別府にある信仰の場や温泉地とは違い、心底恐れられた場所でもあります。この有名な地獄は、本来女性(だけ)が落ちる地獄でした。

しかも、何も罪を犯してなくとも、女性であれば必ず落ちる地獄だったのです。

その理由は、女性の月経や出産時の出血にあります。

日本には古くから「ケガレ」という概念がありました。この概念には色々な考え方がありますが、わかりやすく言えば「清浄でない」ものを指します。死や排泄物(体内から排出されたもの)などが代表的です。

女性であれば避けられない出血が、そのケガレであるとされてしまったのです。

女性は血で大地を汚し、大地にしみ込んだ血が、他の清浄な人々を汚す。そのため、女性そのものが不浄である。おおむね、こういった考え方です。

女性の皆さん! 納得できないですよね。

女性だけが落ちる地獄は、何も血の池地獄だけではありません。もう一つ、石女(うまずめ)地獄というものがあります。

これは、子供を産まなかった女性が落ちるとされる地獄です。

灯心(布や糸を束ねて作られたランプの芯)で竹の根っこを延々掘らされます。なんという、地味で嫌がらせに近い地獄……

結局、当時女性は子供を産もうが産むまいが、どうしたって地獄に落ちると考えられていたのです。

なんで、こんな地獄が広まり、信じられてしまったのでしょうか。

女性が広めた、女性のための地獄

女性が落ちる地獄には、救いの手が残されていました。それが、「血盆経」という、短いお経です。

血盆経は地獄に落ちた女性を救うものであり、そういった地獄の存在を女性たちに伝えるといった側面をもつものでした。(ちなみに、血の池地獄の別名を血盆池地獄と言います)

15世紀頃、血盆経が中国から伝わると、熊野比丘尼(尼さん・尼僧)たちによって全国に広められました。彼女達は、血盆経などの教えをわかりやすく解説することで、生活の糧を得ていたのです。

「女性は必ず地獄に落ちる」と言われれば、恐ろしくなってしまいますよね。しかし、救われる道があると分かれば、信じてしまうことでしょう。

しかも、それを伝えるのも女性である訳ですから、説得力もあるはずです。

血の池地獄や石女地獄は、女性が広めた、女性のための地獄なのです。

番外編! 誰でも落ちる瓮熟処

瓮熟処、読めないですよね?

これは「おうじゅくしょ」と読み、等活地獄(とうかつじごく)に付随した小地獄です。等活地獄は、地獄のなかで最も罪が軽い場所です。

瓮熟処に落ちる罪は、「生物を殺して、食べた罪」。

今の時代において、肉を全く食べない生活というのは、あまり現実的ではありませんよね。日本の場合、お坊さんですら該当してしまう可能性があります。

もしかすると、この瓮熟処は常に満員状態なのかもしれません。

そんな罪で落ちるの!?~おかしな地獄たち~・まとめ

死後に行きたくない世界、地獄

さて、地獄は本当にあるのでしょうか? その答えは誰も知りませんし、これからも分かるはずがありません。

しかし、分からないものこそ知りたくなってしまうもの。だからこそ、地獄の絵説話などの多くが今に残っているのでしょう。血盆経もまた、その一つです。

もしも、地獄が本当にあるとするのなら、今回ご紹介したような理不尽な地獄は無くなっていて欲しいものですよね。

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