鎌倉時代、後醍醐天皇のもとで圧倒的強さを見せた武将・楠木正成。
正成の強さは、後醍醐天皇の敵だった足利尊氏らを苦しめました。正成は戦いのたびに敵を欺く奇策を繰り出し連勝を続けたのです。
そんな正成の奇策で有名なのは糞尿戦法。
聞いただけでも気持ち悪くなるのですが、そんなこと思いつく正成はまさに奇策の天才と言えます。
では詳しく楠木正成にの糞尿戦法を見ていきましょう。
楠木正成の生涯
楠木正成の初の戦い・赤坂城の陣での糞尿攻め
幕府軍が笠置山をおとした後に向かったのか赤坂城。赤坂城は楠木正成が急いでつくったお城だったので、策と櫓だけのかなりしょぼい造りでした。
この赤坂城、守りも薄く山の上に位置していたため、持久戦には向きません。落とそうと思えば、籠城作戦ですぐにおとせるお城だったのです。
赤坂城をみた幕府軍はそんな正成の城をみて大笑いします。
「あはははは、なんだあのしょぼいお城は」「あんまり早く城を落としてもつまらないじゃないか」
城だけでなく、正成の軍勢は数の面でも幕府軍に馬鹿にされるような希望でした。
赤坂城で挙兵した楠木正成の兵の数は500名ほど。一方、幕府軍は30万と兵力にかなりの差がありました。
どうみても楠木正成不利の状況。
これは3日、いや1日で落とせるのでは?と幕府軍も思ったはずです。
しかし、戦いが始まって1か月。今だ幕府軍は赤坂城を落とすことができないでいるのです。
なぜ幕府軍はこの赤坂城を落とすことができないのでしょうか?
それは正成の予想できない戦法にありました。
楠木正成は城のとじこもります。
攻撃してくる幕府軍をそっと狭間から狙い矢を放つのでした。山の上から下にめがけて矢を放つのですから、幕府軍もなかなか赤坂城までたどりつきません。
いくら攻撃しようとしても上から次から次へと矢がはなたれなかなか攻め落とせないのです。
このままではダメだと幕府軍は一旦、攻撃を中止します。
正成の奇策・糞尿攻め
山をおり陣をはる幕府軍。
馬を降り、幕府軍の気が緩んだところで、楠木正成が幕府軍の陣の両脇から攻撃を仕掛けました。完全に緩んだ状態での攻撃に幕府軍も驚き逃げまどいます。
赤坂城からも攻撃が始まり、幕府軍は大きく後退。楠木正成は奇襲で幕府軍を追い払ったのです。
幕府軍もここであきらめるほど弱くはありません。再び、態勢をととのえます。
そして再び、赤坂城にやってきた幕府軍。
前回の矢の嵐が降ってくるのではないかと恐る恐る近づく幕府軍。
しかし今度はいくら近づいても矢が降ってきません、それどころか、正成は何の攻撃もしかけてこなかったのです。
幕府軍はとうとう赤坂城の柵にまで到達します。今度はいけそうだと思ったその瞬間、幕府軍が手にかけた柵が倒れてしまいます。
実はこの柵は二重になっていて、最初から外側の柵は倒れるようにできていたのです。縄を切って外側の柵を、攻めてくる兵士ともども落下させたのでした。
まんまと正成の戦法にはまってしまった幕府軍。
柵に登ろうとしていた兵士は落下しそのまま討ち死にしてしまいす。しかし幕府軍の兵もかなりの強者。残った兵士は、またもや塀をのぼろうとします。
しかし今度は、上から大木や石を投げて正成は攻撃しました。
しかし今度は、上から大木や石を投げて正成は攻撃しました。大木や石ならまだしも、誰が思いついたのか(正成の案だろうけど)尿と糞をぐつぐつににたぎった熱湯(?)を塀をつたってくる幕府軍にぶっかけけたのでした。
糞尿熱湯をかけられたんじゃ、もう士気も下がっちゃいますよね。
幕府軍はとうとう戦略を変更。
籠城作戦をとることにします。
兵糧も水もない山の上に建設された赤坂城は籠城作戦には弱いのです。
この籠城作戦で正成もきっと降伏するはず、幕府軍はそう考えたことでしょう。
正成・兵糧攻めに苦しむ?
正成の赤坂上は兵糧も少なかったので、幕府軍の兵糧攻めは有効な戦法になります。
幕府軍が兵糧攻めを始めて二十日ほどすると赤坂城の食べ物が尽きてきました。
さすがにこのままではダメだと思った正成は考えます。
そして正成はこういいました。
「我々はこれまでに多くの幕府軍を壊滅させてきた。しかし、この兵力差では幕府軍を打ち取ることができない。そしてなにより兵糧もつきてきた」
あきらめムードの正成。臣下はこれと言った策も思いつかず落胆します。しかし正成はこう続けます。
「私は、この戦況をどうにか打破したいと考えている、そのためには計略を練ることこそ勇将のあるべき姿であると考える。だから、赤坂城を捨てて私はは自害をしたふりをしようと思う。
この楠木正成が亡くなったと知れば、敵は大いに喜び軍を引くであろう。その隙を狙って再び私は幕府軍と戦う」
そして正成は赤坂上に穴を掘り、そこに死体を入れて城ごと燃やしてしまったのです。
その間に正成はこっそりと城を跡にします。
煌々と火を噴く赤坂城。それを見ていた幕府軍は楠正成が自害したと勘違いします。
「やっと楠木正成が降参したぞ」と幕府軍も歓喜したことでしょう。
幕府軍は急いで赤坂城に向かい楠正成を探すのですがそこには既に燃えてしまった遺体しかありません。
幕府軍はこれを楠正成と思い込み撤退していきます。
兵糧攻めに苦しんでいるかと思えばすぐに次の策を考え、すぐに行動をするところ。さすがとしか言えませんね。
【楠木正成】赤坂城の戦いとは?糞尿(うんこ)戦法で幕府軍も士気が下がりまくり?
楠木正成はその後しばらく、姿を消します。
幕府軍もすっかり、正成を討伐したものと思い込んでしまっていたのですね。
この後も、楠木正成は連勝していきます。まるで軍師・諸葛孔明のような知略をつかった戦い方。
知れば知るほど楠木正成の魅力にはまり込んでいくことでしょう。